64版エヴァのこと
レンタルDVDで新劇場版のエヴァを観たり。細かい部分が変わってるけど、基本的にはTV版と一緒だから、TV版→DVD版→劇場版→新劇場版と同じ物を4回も観ると、流石に新鮮味も何もないね。でもマヤの新規カットは良かった。やはりマヤは良い。
まあ、そんなこんなで久々にエヴァを観たので、思い出を掘り起こすように64版エヴァの話でもしておきましょう。
64版エヴァの話が来たのは、確か98年の1月か2月頃だったと思う。サイキ2012開発が終了して、出向先の中央研究所から会社に戻ってきた直後の話だったような…まあ、とにかくその辺の話。
ゲーム的には対使徒との3D横画面バトルアクション物で、バトル前後にTV版のカットをそのまま使うと言う物なんだけど、当時の64って基本のROMが64Mbit(8MB)で、TV版の絵をそのままROMに入れると、絶対に最後まで入らないから「じゃあ、あの絵がなんとか入るように減色しよう」って力技でROMにぶち込んでたりするのです。以下、その手順を公開。
(1)DVDから必要なカットをキャプチャする

必要なカットがデータサイズ(288*144)にトリミング&縮小された状態。一番最初のDVD版からキャプチャしてるので、お世辞にも綺麗な絵とは言えず。何はともあれ、これとTV放映の録画テープ(自前)と、まんだらけ等でどうにか揃えたフィルムブック全巻が全ての基本に。
(2)データ化用の下準備
(1)の絵のまま減色しても必要な色を拾ってくれないので、減色前の下準備としてPhotoshopで輪郭線周りのノイズとかを綺麗に修正。本来、ベタ面の部分をベタにしておかないと当時のOPTPiXは綺麗に減色してくれなかったんで、この下準備を怠るとドット修正で余計な手間がかかるんで、特に人物のベタ面を念入りに。
このカットでは3枚で口パクする仕様だったんで、口だけ別パーツに。
(3)短冊状に分割して個別に減色
ここからデータ化の作業に。一枚絵をそのまま256色減色しただけではファイルサイズが大きすぎるんで、ここからさらに縦16ドットの短冊状にカットして、個別に15ビットカラーで16色減色をかます。15ビットカラーは32768色なんで、短冊一枚のパレットは32000色中16色で構成されることになります。65000色使える16ビットカラーの半分。16ビットカラーで表示するとどうなるかは、Windowsなら「画面のプロパティ→設定→画面の色」で16ビットカラーが選べるので体験してみよう。
で、減色した短冊を一枚絵に合成しただけの絵がこれ。ミサトの顔アップだからキャラはそんなに悪くないけど、背景が減色丸出しでどうにも厳しい。目の影色もおかしいね。
(4)根性でドット修正

背景も含めて各短冊の16色縛りを踏まえたまま「TV放映時の一枚絵に見えるように」根性でドット修正をかます。色が足りない時は足りるように都合を付ける。それでも足りなきゃタイルを駆使してそう見えるようにする。
当時はX6800でドット作業して、9821上でIBMフォーマットのフロッピーに書き換えて、PSボードを突っ込んだAT機でビデオ出力して64実機での雰囲気を確認。会社には64の開発機材がなかったんでPSの出力ボードで代用してたんだけど、64は基本がビデオ出力だから、ドットのボケ味とかは確認できて大いに役に立った。つか、PSボードがなかったらこの作業は出来なかった…
他の絵だとこんな感じね。ゲンドウのアップは色が一杯使えて大分楽だった。
こう言うのもタイルでどうにか。

多分、開発初期から中期の間で一番死んだのがこのカット。背景とミサトと分割して短冊減色してるけど、背景のグラデが15ビットカラーだとどうしても綺麗に出なくて、フィルムブックをにらみながら、元のグラデに見えるように全部打ち直し。ツールにタイルペンなんてないからタイルは全部手打ち。TV版では崩れてたミサトの顔も修正。多分ゲームでは3秒くらいのシーン。
TVに映った時のボケを計算してドットを打つなんてのは当たり前。要求されてるのはTV版の絵だから「ああ、ドットで打ってるのね」ってユーザーに分かっちゃうと駄目なんで、持てるドット技術を駆使して「これTV版まんまじゃん。手抜きしやがって」と言う絵を作っていくと言う、ある意味では不毛な作業に全精力を注ぐと。まあ、移植ってのはそう言うもんですが。
ちなみに作業は2人。他の人に数カットだけお手伝いをして貰ったけど、それも全部手直ししてるんで結局は二人。その戦友も今は●●ー●●●●●に在籍中。あんな上手い人を手放すとか、あの会社もアホだなあと思う。
……ってな感じ。これより先の面だと50%サイズのグラデをバイリニア拡大してボカした物を透明度弄って重ねて足りないグラデを出すとか、さらに怪しいとんち満載で組んでるんだけど、途中でROMが256MBitになって、ラーメン屋と最終面のカットだけはクライアント側が256色で減色したのを突っ込んでるとか後に聞かされたり。それならそうともっと早く言ってくれれば…とも思わなくもないけど、どうにかして再現するとかピーキーな作業も楽しいもんですわ。
まあ、そんな感じで64版エヴァのイベントシーンは出来てるんで、何かの機会があったらじっくりと見て頂ければ幸い。ああ、でも64実機以外だとボケ味が足りなくて多分タイルが見えちゃうね。万が一VC化されたら相当タイルが見えるだろうねえ…
















